独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター

お問い合わせ0948-24-7500

主な疾患

腰椎椎間板ヘルニア

背骨と背骨の間には、クッションの役割を持つ椎間板が存在します。腰の背骨(腰椎)の椎間板が後方に飛び出したものを腰椎椎間板ヘルニアといい、腰痛を伴う事があります。腰椎椎間板ヘルニアが神経を物理的に圧迫すると下肢の痛みを感じ、立ったり座ったり姿勢によって痛みが強くなり、日常生活に支障を来たすようになります(図1)。

さらに、神経の圧迫の程度が強い場合には足に力が入りにくくなって転んだり膝折れしたり、排尿の障害が出る可能性があります。

腰椎椎間板ヘルニアのMRI像
図1 腰椎椎間板ヘルニアのMRI像

総合せき損センターでの治療

下肢の痺れや痛みが比較的軽ければ、まず消炎鎮痛薬の内服などの治療を開始します。症状が改善しない場合や症状が悪化する場合、日常生活に著しい障害がある場合などには手術療法を検討します。

また、下肢の筋力低下や膀胱直腸障害(自分で尿が出せない、失禁など)が生じている場合は早期の手術が望ましい場合もあります。手術療法は基本的に、肥厚した骨や靭帯を切除し、脊柱管(神経の通り道)を広げる手術をまず考慮します。

そうすることで下肢症状の改善を期待します(図4)。

除圧術による狭窄の改善
図4 除圧術による狭窄の改善

椎間板ヘルニアによる圧迫が主な原因の場合は、ヘルニア摘出術を行います。
ヘルニアの状態に応じて内視鏡による摘出術(MED)や顕微鏡下のヘルニア摘出術などが選択されます(図5)

椎間板ヘルニアに対する内視鏡的ヘルニア摘出術(MED)
図5 椎間板ヘルニアに対する内視鏡的ヘルニア摘出術(MED)

また下肢症状を引き起こす原因に、脊椎不安定性が強く関与している場合、金属製の固定具を使用した脊椎固定術を併用する事も可能です(図6)。

脊椎の不安定性がなくても、ヘルニアの場所によって背骨の関節を切除する必要があり、結果的に不安定性が生じる場合や、背骨の手術後の再手術の場合で固定手術が必要になる場合があります。

腰椎変性すべり症に対する腰椎後方椎体間固定術
図6 腰椎変性すべり症に対する腰椎後方椎体間固定術

総合せき損センターでは3D移動型術中イメージングシステム(O-arm)を使用することにより固定具設置の精度を向上させ、手術の安全性の向上に努めています。