主な疾患
成人脊柱変形(脊椎後弯症など)
脊椎後弯症は、いわゆる「腰曲がり」で脊椎の後弯(後方凸の弯曲)が極端に大きくなった状態です。後弯を来す疾患には椎体骨折やパーキンソン病、強直性脊椎炎の他、様々な原因があります。軽度の後弯では大きな問題が生じませんが、過度の後弯になると、強い腰痛や代償性の大腿部易疲労感や疼痛が出現し、脊柱管狭窄症を合併して下肢の神経障害を生じる場合もあります。また、腹部が圧迫され胃食道逆流症による摂食障害を起こすこともあります。
脊椎後弯症を含めた、成人脊柱変形に関する保存療法としては、ギプス治療を含めた装具療法、運動療法、理学療法、カイロプラクティックなどがこれまで行われてきましたが、十分な治療効果が確認されたものは存在しません。そのため、「腰曲がり」は「年寄り病」と老化現象の一つとして片づけられ、付き合っていくべきものと考えられてきました。
しかし、高齢化に伴い、全身的には健康であるものの、脊柱変形のために日常生活に支障をきたしている患者さんへの治療ニーズが高まってきました。過去10年の脊椎固定材料や手術手技の目覚ましい進歩に伴い、成人脊柱変形患者さんへの手術治療成績も著しく改善がみられています。
しかしながら、成人脊柱変形患者さんは様々な全身合併症を有していることが多く、手術には様々なリスクが伴うため、当院では十分な説明を行った上で手術を行っています。