独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター

お問い合わせ0948-24-7500

主な治療法

経肛⾨的洗腸療法(ぺリスティーン®)

脊髄損傷・⼆分脊椎の患者さんの約半数に重度の神経因性⼤腸機能障害による排便障害(便秘・便失禁)が認められます。
⾷事指導・⽣活指導に加えて内服薬(下剤など)・座薬・浣腸などを⽤いて治療することが多いですが、⼗分な改善を得られない患者さんもおられます。このような難治性の排便障害に対する新しい治療として、2018年4⽉に「経肛⾨的洗腸療法」が保険診療として可能になりました。

当院でも2018年4⽉から導⼊しています。対象は、上記治療(内服薬・座薬・浣腸など)を3ヶ⽉以上続けても⼗分な症状改善が得られない脊髄損傷を原因とする排便障害を有する患者さん(直腸⼿術後の患者を除く)です。
海外では標準的に⾏われている排便管理法ですが、本邦では2018年4⽉にようやく保険収載されました。

便秘症・便失禁の治療でお困りの⽅、「経肛⾨洗腸療法(ぺリスティーン®)」に興味のある⽅は、お気軽にお問い合わせください。

経肛門的洗腸療法の適応

洗腸には手間と時間がかかるため、それに見合った効果が期待できる重症の便失禁や便秘症の方が適応となります。食事療法、薬物療法など他の保存的療法で十分な効果がなかった方で、仙骨神経刺激療法や人工肛門造設術などの手術を受ける前の治療の選択肢として位置づけられています。

ただし、直腸の手術を受けたことがある方は、大腸穿孔の合併症が発生する危険性が高いため、保険診療の対象外になってしまいます。直腸の手術を受けたことがある方は、担当の医師に必ずご相談ください。

治療の選択肢
経肛門的洗腸療法の適応

経肛門的洗腸療法とは

  • 経肛門的に直腸にカテーテルを挿入し、1~2日に1回、300~1000mlの体温程度の水を注入します。
  • 注入した水と一緒に直腸から下行結腸の便を完全に排出することで、便失禁や便秘の症状を改善できます。
経肛門的洗腸療法
経肛門的洗腸療法イメージ図

経肛門的洗腸療法の効果

下痢などの薬剤や摘便、食事などの従来の保存的療法では十分な効果が得られない患者さんがいます。

経肛門的洗腸療法では、直腸から下行結腸の便を排出することが可能なので、排便に要する時間の短縮や、1~2日間の排便コントロールが可能となります。

経肛門的洗腸療法の効果
経肛門的洗腸療法の効果イメージ図

使用方法

直腸カテーテル使用方法
直腸カテーテル使用方法
  • ウォーターバッグ、コントロールユニット、直腸カテーテルの3点で構成されています。
  • 直腸カテーテルは、先端が親水性コーティングされているため水に濡らしただけで滑りが良くなって肛門に挿入しやすく、またバルーン機能もあるため膨らませれば手を放してもカテーテルが抜けず、注入した水も漏れにくくなります。
  • 基本的にはトイレで座って使用し、空気や水の注入はポンプ操作で行います。ウォーターバッグは床またはお尻よりも低い位置に置いて使用します。